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在りのままと人為について 相生山を考える

「山の日」に相生山について まとめてみました
先日の 勝手な「森づくり」「森の手入れ」記事と寄せられたコメント こちら
併せて もう一度 お読みいただけると幸いです


相生山緑地の未来像について、市民の意見は多種多様で「落しどころ」を定めるには困難がともなう、と言われています。しかし、相生山の道路計画廃止を決めた河村市長の「自然を大事にという精神で」の根本に沿えば、意外に簡単なのではないかと思っています。

自然とは、自(みずか)らの本性に従って「自(おの)ずから然(しか)るべく」あるもの。人為に依ったものではなく、おのずから存在しているもの。

実は、人が為したいことの違いが、意見の違いとして現れてくるだけではないでしょうか。たとえば、相生山にどういう施設をつくればいいか、駐車場は、キャンプ場は、園路は、道路跡地利用は、植生管理は・・・・、といった具合です。

人為をできるだけ廃して、相生山のありのままを後世に残していく工夫を検討するならば、大多数の合意形成は困難ではありません。森のありのままの移り変わり、四季の変化や人の一生をはるかに超える自然の遷移を観たり、学んだり、楽しんだり・・・。そのための「散策路」や「休憩ベンチ」を必要最低限に設置するといったことでいいのですから。予算も少なく済むのですから。

自然林と人工林IMG_6084 (640x427) 自然林と人工林の隣接する区域

このブログでもしばしば書いてきたように、相生山は太古の昔からの手つかずの森がそのまま残っているわけではありません。それぞれの時代に生きた人びとによって、耕作地として、燃料確保の地として、あるいは住宅地として、利用されたり「開発」されたりしてきました。
相生山の中核部分は、自然と過去の人為がつくりだした「二次林」が占めています。

現在、相生山緑地に生育している植生にしても、人が収入を得るために植えた竹や、景観のために植えた桜や楓、菅田地区住民の所有する山林のアベマキやオオシマザクラも、もともとは燃料やキノコ生産のために植えられたものかもしれません。こうした植生の区域は、よく研究すれば、竹藪の除伐のような対策が必要なのかもしれません。

竹侵入IMG_6086 (640x427) 竹の侵入で貧弱な植生の区域

名古屋市とその近隣地域では、相生山のような樹林地に対し「森づくり」「森の手入れ」を行うことによって、「武蔵野の原風景」的『里山』を維持管理することの必要性が一部識者によって説かれ、行政によって推進されてきた経緯があるようです。これは全国的には稀なケースだったそうですが、「COP10」「生物多様性」「里山イニシアティブ」「ESD」といった流れとともに、現在は主流になっているかに見えます。

名古屋市では市の長期未整備緑地の対策として、「オアシスの森」方式による借地⇔「森づくり」を進める市民活動普及が実施されてきました。
しかし、「自然を大事にという精神で」相生山を残そうとした時点で、新たな局面に入ったことをはっきり認識すべきだと思います。

以上を前提とし、頂いたコメントとともに考えます。

 一向に改善されない森を守る姿勢、どうするのが良いのか?
 名古屋市の関係部署の方々は、実際に森や樹木の知識を持つ担当者なのでしょうか、それとも公務員の常で2−3年ごとに部署替えになる人々?
 もしそうであるとするならば、担当者教育からし直さないといけないということになります?        yoko blueplanetさん
                       

名古屋市の職員や専門的アドバイザーのなかには、公園管理や造園や景観考案といった分野に比べて、生態系や環境倫理などの分野からの提案が少ないのではないかと推察しています。旧態依然としたヒト優先思考にとどまらず、いきもののいのちと地球(人類含む)の未来を結びつけて、行政施策に生かす工夫が求められているように感じています。

スキャン_20170808 (4) (800x746)

「森をつくる」というのは、人工林を人が管理すること。 相生山は人工林ではないですよね。         アサちゃんさん

8月11日は「山の日」ということでした。テレビなどが取り上げた百名山やアルプスだけでなく、身近な山林について「山の手入れ」に真剣になって取り組むことは国政の急務だと思います。 紹介いただいた新聞記事貼り付けました。
人工林の管理は人の責任において不可避な課題ですが、そうでない区域にむやみやたらと人が手を出すのは「要らぬお節介迷惑千万!」と自然から叱られてしまいそうに思います。

自然林と人工林については、豊田市森林課の北岡さんの分かりやすいエッセイ連載中です。こちら 参照ください。

人工林IMG_6083 (640x427) 画像は相生山の人工林。道路用地ということもあり、買収後放置されてきました。もとは農地で平坦な土地ですから、そう急ぐ必要は無いと思います。ヒメボタルの発生する区域です。その方面からの考察もしながら自然林に戻していければ、どんな森になっていくのか楽しみでもあります。 

余談ですが、インターネットのウェキペディアで「相生山」検索すると「相生山の雑木林」として、このヒノキ人工林の画像が出てきます。こうした誤りが普及されていることが、残念ながら現実なのですね。

 尾根の看板 伐採看板IMG_6055 (640x427)

 尾根の景観が自然に作られるものならば、尾根ならほっておけばそうなるはずで、人為的にする必要があるとは思えません。
 尾根の景観にならないということは、外見的尾根であっても、環境的尾根ではないのだと思います。
 書かれていることが理由ではなく、なにか切りたい事情があり、そのこじつけのように感じます。
 相生山のようなところは周囲から孤立しているので、一度失った生き物たちは、環境が元に戻っても二度と戻っては来ないでしょう。 いい加減な知識や思いつきの伐採は、いずれ取り返しの付かないことにならないか心配です。    
                             ノートさん


「なにか切りたい事情があり、そのこじつけ」のご指摘に気づかされました。
実際の尾根に今生育している植生が現実です。「こういうものがあるはず」「ああいったものがあって欲しい」は人のエゴ。その考え方と行動が、世の中をゆがめ、病ませていると思います。
自然を、あるがまま大事にしようとする心を人が失っていく社会は、人が人として生きていけない社会である不安にかられます。


力不足で なかなか思うところが表現しきれない もどかしさを感じます
さまざまなご指摘をいただいて いっそう考えを深め
名古屋市に提案していければ と考えているところです
これからも よろしくお願いいたします

     by  Oak.

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theme : 名古屋・愛知
genre : 地域情報

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comment

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Re: 西は暑いようなので。。。

yokoさま

 遠くから いつもありがとうございます
 近いうちに 官との意見交換の機会あるかと思います

 指摘いただいたポイントを外さないように
 必要と思われる働きかけを続けたいと考えています

 暑さを友として 楽しんでいきます

Re: 金額で表すことができない財産

ノートさま

 > 基本的な言葉〈概念)について、共通の認識を持つことの必要性を感じます。

 人びとの意識について 「共通認識の確認」から始める必要があるのか 
 独りよがりにならぬよう 仲間とも意見交換してみたいと思います


 > 相生山は原生林ではありませんが、・・・ 来歴がどうであれ、
 それは金額で表すことができない名古屋市民の財産だと思います。

 ご指摘ありがとうございます
 身近なものほど実感の薄くなる傾向があるものです
 あらゆる場面で 語り続けていきたいと思います 

Re: 管理の仕方

ふくちゃん様

 相生山緑地の自然林部分については 手を加えないが原則と思っています
 人々の(適度な)散策に支障があると思われる 最低限の整備を除いては

 私有地の所有者の方は 耕作以外ほとんど現状維持放置であるように見受けられます
 むしろ 他の「市民」の活動状況の見直しが必要に思われます
 それと 何者かによる「手入れ」による (大げさに言えば)「自然破壊」

金額で表すことができない財産

「自然」という言葉は厄介で、個人によって捉え方がまったくちがってきます。
特に、環境に関する自然科学の知識の有無によって天と地ほどの差を感じる時もあります。

基本的な言葉〈概念)について、共通の認識を持つことの必要性を感じます。


相生山は原生林ではありませんが、結果的に貴重な生き物たちが暮らしています。
来歴がどうであれ、それは金額で表すことができない名古屋市民の財産だと思います。
土地が残っていても失われるかもしれない貴重な。

その価値が失われないことを願っています。

管理の仕方

自然林だから、人の手を「最低限」加えましょう。
だけど、その「最低限」が個々に違うから、
話し合って決めましょう。?

この山には私有地も入ってるから、所有者は自分の好き勝手ができる。そのついでに、残すべきと思われる植物も伐採もしてしまってる。というのが現状なんでしょうか?

西は暑いようなので。。。

おはようございます。
自然林に対する行政の基本姿勢が固まれば、流れが出来る筈ですから、官に対する働きかけ、頑張って下さい。
西日本は猛暑が続くようです。体調管理には十分ご注意下さいね!
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Author:森の妖精 アイ
名古屋の相生山(あいおいやま)緑地 大都会に残された貴重な森のことをたくさんの方に知っていただくため情報発信していきます
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