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【考察】相生山緑地のヒメボタル(四)

(前記事からつづく)
こうした「森づくり」による破壊、「見物」「撮影」による脅威、などからヒメボタルをどう守るか。今それが重要な課題であることを提起したいと思います。
掲示IMG_3638 (427x640) 表示IMG_3593 (640x427)
ことしは天白土木事務所に「ヒメボタルの時期前に注意掲示を増設」することを依頼し、これまでになくきめ細かい対応が実施されました。しかし、それは応急的で限られたものであって、根本的な問題解決ではありません。

また、いっそう重要な留意点は、私たちは空間を飛ぶ♂の光は見ているが、羽化後も大きく移動できずに地表にいて産卵する♀の姿はほとんど見ていないということです。植生であれば何年かすれば回復することもありますが、ヒメボタルの♀に危害が及んだら、産卵の場が壊されたら、飛べない♀には子孫を守る術がありません。「数年見られなくても餌が増えたら出てくるさ」というようなことではないのです。

ヒメボタルサンドラ2019-05-19_Nagoya_hotaru_80D_0031_SHF-Edit (800x571)

ヒメボタルと相生山
当たり前のことですが、ヒメボタルは単独で生息しているのではなく、地形や地質・樹林の状況・幼虫の食餌である貝などの小動物・気候気象など、複雑にからみ合う生態系のなかの一種として生存しています。
ヒメボタルだけを「大事」にしても、その環境をないがしろにしては生息できません。ヒメボタル以外の森の状態、さらに相生山緑地をとりまく諸条件も重要です。
保全生態学では「その魅力によって、その生育場所の保存を世間にアピールできる種」をflag-ship-species(=象徴種)と位置づけます。相生山のヒメボタルはまさに、相生山緑地と周辺全体の自然を大事にしていくための象徴です。
多様な人びとIMG_3463 (640x427) 最近、CBCテレビの番組に取材協力し、そのスタッフたちとの会話や放映後の視聴者の反応から、このことは改めてはっきり学べました。ことさら声を大にして「自然破壊するな」と言わずとも、夜の森に生きるヒメボタルの光の美しさは、出会ったそれぞれの人に「今ある自然を残したい」と強く自覚させるものだったようです。(つづく)
※参考に:CBCテレビの記事と映像、yahooニュース こちら

   by  Oak.

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