【考察】相生山緑地のヒメボタル(三)
注意すべき点 ⋆⋆⋆⋆ 具体例と問題提起
ヒメボタルが見られなくなった、あるいは減少傾向にある場所の共通点があります。それは人との関係です。前項に照合します。一部、現場周辺の昼間の画像を参考に貼ります。

①では、かつて山根口入口まで「谷底からホタルが湧いてくる」状態でした。それが次第に見られなくなったのは、「竹薮整備」以降です。人が入って大規模に竹を伐り、伐った竹を放置し、そのまま経過するうちに、復元力の強いタケは以前にもまして繁茂し、林床に出来たスペースには先駆植生が入り込みました。こうした森林の変化がヒメボタルの消長に大きく影響しているのではないかと考える一例です。

②はカメラマンが列を為し密集する「撮影ポイント」でした。梅畑ですから若干の除草剤散布はずっと以前から続いていたと思います。この2年ほどで、ほとんど見られなくなったのは、手前の畑地面積が増えたこともありますが、後背地の低木樹林を「来る人が喜ぶよう」「森づくり」のためにと大規模皆伐されていったのと時期が一致しています。日照条件・乾燥化が進んだこととの関連性が推察されます。また、あまりにも多くの撮影者が梅畑の際まで入り込んだことによって、産卵地が失われた可能性も考えられます。

③の北面は①の竹薮です。それにも増して大きい変化は南面の草地が「里山景観のため」畑地に替えられてからです。広がった畑地部分では、土壌が掘り起こされ篩いにかけられ、生まれ変わった「里山」にはホタルが1匹もいなくなりました。このことは名古屋市の担当部署にあらかじめ警告したのですが、畑づくりに熱心な人びとは森林の生態系には無関心です。世界史上 agriculture(=農業)は森を破壊し遂には文明を消失させたことの、小さな再来が起こっています。
深夜ベンチに座って体験できた「360度光の舞い」は、完全に失われました。

カメラマンや見物人の集中では④⑤地点も今後危うい状態です。④では①同様の「竹藪整備」の後年から減少傾向が現れました。せっかく「相生山の都市計画道路」が建設中止になって、植生が復活してきたのに、一方では森林破壊が進んでいる感があります。⑤では「道迷い」の見物人が園路を外れ、ホタルの舞う人工林内へ入り込むことがしばしば行われます。

⑥は入口に近く、ひと言でいえば、人の圧力が野生生物であるヒメボタルを圧迫しているのではないかと考えられます。すでに述べた①~⑤の問題点のほとんどがここにも当てはまり、ことしは特に急激に見られなくなりました。昨年まではピーク時には相生口の草むらまで多数出ていたのが、ことしはほんの数匹だけでした。
⑦⑧では大きな変化は見られません。ことし多く見られる日が少なかったのは気象条件が要因だと思われます。数が大きく減っていないのは、人による影響が少ないからではないかと①~⑥と比較して判断しています。(つづく)
相生山で出会った新しい友人から、撮影したヒメボタルの画像提供を受け、ホームページに掲載しました。こちら by Oak.


ヒメボタルが見られなくなった、あるいは減少傾向にある場所の共通点があります。それは人との関係です。前項に照合します。一部、現場周辺の昼間の画像を参考に貼ります。

①では、かつて山根口入口まで「谷底からホタルが湧いてくる」状態でした。それが次第に見られなくなったのは、「竹薮整備」以降です。人が入って大規模に竹を伐り、伐った竹を放置し、そのまま経過するうちに、復元力の強いタケは以前にもまして繁茂し、林床に出来たスペースには先駆植生が入り込みました。こうした森林の変化がヒメボタルの消長に大きく影響しているのではないかと考える一例です。


②はカメラマンが列を為し密集する「撮影ポイント」でした。梅畑ですから若干の除草剤散布はずっと以前から続いていたと思います。この2年ほどで、ほとんど見られなくなったのは、手前の畑地面積が増えたこともありますが、後背地の低木樹林を「来る人が喜ぶよう」「森づくり」のためにと大規模皆伐されていったのと時期が一致しています。日照条件・乾燥化が進んだこととの関連性が推察されます。また、あまりにも多くの撮影者が梅畑の際まで入り込んだことによって、産卵地が失われた可能性も考えられます。


③の北面は①の竹薮です。それにも増して大きい変化は南面の草地が「里山景観のため」畑地に替えられてからです。広がった畑地部分では、土壌が掘り起こされ篩いにかけられ、生まれ変わった「里山」にはホタルが1匹もいなくなりました。このことは名古屋市の担当部署にあらかじめ警告したのですが、畑づくりに熱心な人びとは森林の生態系には無関心です。世界史上 agriculture(=農業)は森を破壊し遂には文明を消失させたことの、小さな再来が起こっています。
深夜ベンチに座って体験できた「360度光の舞い」は、完全に失われました。


カメラマンや見物人の集中では④⑤地点も今後危うい状態です。④では①同様の「竹藪整備」の後年から減少傾向が現れました。せっかく「相生山の都市計画道路」が建設中止になって、植生が復活してきたのに、一方では森林破壊が進んでいる感があります。⑤では「道迷い」の見物人が園路を外れ、ホタルの舞う人工林内へ入り込むことがしばしば行われます。

⑥は入口に近く、ひと言でいえば、人の圧力が野生生物であるヒメボタルを圧迫しているのではないかと考えられます。すでに述べた①~⑤の問題点のほとんどがここにも当てはまり、ことしは特に急激に見られなくなりました。昨年まではピーク時には相生口の草むらまで多数出ていたのが、ことしはほんの数匹だけでした。
⑦⑧では大きな変化は見られません。ことし多く見られる日が少なかったのは気象条件が要因だと思われます。数が大きく減っていないのは、人による影響が少ないからではないかと①~⑥と比較して判断しています。(つづく)
相生山で出会った新しい友人から、撮影したヒメボタルの画像提供を受け、ホームページに掲載しました。こちら by Oak.



- 関連記事
-
-
【考察】相生山緑地のヒメボタル(六) 2023/06/08
-
【考察】相生山緑地のヒメボタル(五) 2023/06/06
-
【考察】相生山緑地のヒメボタル(四) 2023/06/05
-
【考察】相生山緑地のヒメボタル(三) 2023/06/04
-
【考察】相生山緑地のヒメボタル(二) 2023/06/03
-
【考察】相生山緑地のヒメボタル(一) 2023/06/03
-
ヒメボタル残したい! 2023/05/30
-
ヒメボタルの夜 2023/05/27
-
雨夜のヒメボタル 2023/05/25
-