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これがホントのアカマツ林再生!

相生山緑地に名古屋市が進めている「アカマツ林再生プロジェクト」
先月末にも、伐採地から萌芽更新してきた樹木たちが激しく伐られました。
「また『松を守るため』伐採してます。前に切られた株から結構大きくなっていた枝はほとんど伐られています。なんだか切ない」 
現場に出会った「相生山の四季を歩く会」のH子さんから『緊急情報』が流されました。
アカマツ林PJ伐採①IMG_5774 (640x427) アカマツ林PJ伐採②IMG_5777 (640x427)
このエリアの、この活動には、何度となく意見提案してきました。 こちらは2015年、 同時に添付した環境カウンセラー 故高岡さんの考察こちら
私たちの異見は
①「再生」というが、そもそも相生山にアカマツ林が存在していたのかどうか
②植生遷移が進んで《コナラ・アベマキ林からシイ・カシ林》への移行段階である相生山で、いまアカマツ林が成立するのか
③現在生育しているマツ(松)は、アカマツとクロマツとの交雑種=アイアカマツ(間赤松),アイグロマツ(間黒松)であると見れるが調査したのか
④歴史的経緯、森林成立の基本を踏まえない言動・公示は市民へのミスリードを生じさせているのではないか
などが主なものです。しかし、名古屋市からは「検討結果」も、まともな反論も、自らの行動をふり返ってみることもなく、同じことの繰り返しや拡大、その時だけの「成果」を掲示報告し続けています。
マツ以外は伐るIMG_5775 (640x427) 人為の裸地IMG_5778 (640x427)
密集して生えるマツの群落、マツ以外の樹木は伐採するという単純植生の景色は、いかにも不自然。植木屋さんの畑のようですし、将来ここにマツ林が出現するとは思えません。現状の光景は《かつて「自然な」アカマツ林があり、それを「再生する」》という市の主張を、根本から論理破産させる証明に見えます。頻繁に伐採しなければ、たちまち広葉常緑林が復活するという具合です。名古屋市はいつになったら気づくのでしょう。気づかないふりをやめるのでしょう。それとも、一旦決めて始めたことを改めるのは「恥」「悪」とする頑迷さこそが行政の「正義」「常識」なのですか。

私たちの別のフィールド(岐阜県中濃)には、正真正銘のアカマツが生育してきました。有名な「マツタケの産地」です。尾根にはアカマツ、下部傾斜地は農地の肥料や燃料の柴も産む落葉樹中心の雑木林、が長年の山姿でした。その雑木林が「拡大造林」の政策で「人工ヒノキ林」に変えられて数十年。一方、高齢化したアカマツはマツクイムシに侵食されるなどして衰退。山林の多くは枯死したマツ+放置人工林になってしまっています。
4年前の秋、この区域の山林に間伐着手したころ こちら
やがて、最初は密集して暗いヒノキ樹林に隠されていた、高木のマツが何本か見えてきました。この辺りが「マツタケ山」だったかどうか正確には分かりませんが、地元の人が「マツタケの菌は強いって言うで、もしかしたら復活するかもしれんな」と冗談で言うくらい、陽が入って明るい山になってきました。
アカマツ平①IMG_5806 (640x427) マツの尾根IMG_5798 (640x427)
そして、残っているアカマツから落とされた幼木が何本も育っています。それは相生山のように(先の画像)密生してはいません。相生山では「マツ増やすために植えてるんじゃない?」「変な増え方は松ボックリばら撒いてるよ」のうわさがありました。ここの幼木の様子は推測が当たっているかもしれないと思わせます。いっせいに発生するのではなく、一本一本がそれぞれ適地を選び、自然の摂理の上に生えてきたと感じられるからです。
幼木①IMG_5803 (640x427) 幼木②IMG_5807 (480x640)
アカマツの小さな平には、遷移初期に見られるツツジ科の小木も元気になっています。スノキ(酢の木),ヤマツツジ(山躑躅),ドウダン(満天星),ネジキ(捻木),アセビ(馬酔木)などです。子どもの頃、マツタケ山に囲まれた山村に過ごしました。そのころの山の姿が思い出されます。
ツツジ属IMG_5811 (640x427) アカマツ平②IMG_5808 (640x427)
私たちは「アカマツ林再生」などと、自然を意のままにするつもりはなかったけれど、人が「利」のために自然を改変(=ヒノキ植栽)し、「利」のために放置した(=手遅れ林)を、《自然にお還し》しようと伐採を始めました。結果、自然が戻ってきたのかもしれません。
人が「欲深い」人為を改めたとき、自然は復活・再生する。大言壮語「再生」などと意気込んでも、自然の「理」には逆らえない。

相生山緑地の雑木林、ことしは「やや遅め」の春を迎えました。
冒頭のH子さん「その子切らんで、切るの止めて、と言ったけど切られてしまったウスノキ。可哀想で置いとけなかったから、うちへ持って帰って花びんに活けてある」と話してくれました。
コナラの谷IMG_5779 (640x427) コナラの森IMG_5784 (640x427)
こんなに素晴らしいコナラ・アベマキの林があるのに、暖地性の照葉樹の森も広がろうとしているのに、何を矯めようとするのですか。自然から生れ、自然の一部として生かされている、たかがヒトの分際で。

「春はザワザワ」3連続記事、いかがだったでしょう。 (1)春はザワザワ:こちら (2)期待していていいですか?:こちら
誰もが、麗らかな季節を歓び、健やかな身体と魂を取り戻して、愉しく過ごせますように。
そのカギは「自然とともに」生きる、今ある「自然を大事に」することから、ではないかと思っています。


    by アイ+Oak


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