気まぐれな庭師と相生山
相生山緑地の北半分、通称「オアシスの森」の「展望台」跡。
園路ギリギリまで伐採された樹林地についての前記事 こちら。

散策中に通りかかって「ビックリした!」数人からの連絡があり、名古屋市の担当部署に現場確認と「伐採理由」の説明を求めました。まだ回答はありません。勝手な憶測ですが、「荒れた森にならないように森づくり活動をしています」と返ってくるのかな?

同じような光景は「オアシスの森」全域に、何か所も見られます。「生物多様性のための伐採地(双子池口上斜面)」「ツツジの園」「爆弾穴=第二次大戦米軍による焼夷弾被弾跡」「桜の園」などなど。
下は「アカマツ林再生プロジェクト」区域の最近の伐採地 参照 こちらです。
「相生山はアカマツとコナラなどの森」と書かれた掲示を見ますが、実際は違っています。マツは生育していますが、自然交配か人工交配植栽のアイグロマツ(間黒松)かアイアカマツ(間赤松)のようです。現在はアカマツなんてないと思います。「アカマツ林再生――」区域でも、自然のマツ林に比べると異常なほど密生したマツと他の植生の混交林が見られます。

相生山を代表するコナラ(小楢)やアベマキ(棈)も樹齢80年を超え、寿命が近づいていると思われます。代わってアラカシ(粗樫)が増え、数年前からシイ(椎)の幼木も育ってきました。相生山はシイ・カシ林への移行の遷移段階にあるようです。「アカマツ林にしよう」としても、母樹になる自然のアカマツ自体が存在しない。土壌からは潜在自然植生の常緑照葉樹が優先的に育ちます。ですから、一旦皆伐区画をつくっても10年足らずで、こうなってしまう。

「暗い森にならないように」と常緑樹を伐採しても、萌芽更新可能な樹高で伐るため、不自然に再生します。自然に逆らって「明るい心地よい森にする」なら、適宜手を入れ続けなければなりません。この先ずっと、実施可能ですか?根絶やししても、やがては常緑樹の樹林になることでしょう。それが自然です。

アラカシ クスノキ(樟) どれも樹齢10数年の低木を伐ったと思われます。伐られて「危機を感じた」樹木は一層盛んに幹を伸ばし枝を張り、光合成のための(=生き残るための)葉を茂らせます。最も多く犠牲になっているヒサカキ(姫榊)も。

もともと成木に近い樹齢で伐られたため、樹高は低くても花をつけ結実は早い。ですから伐られる前より一段と速く繁茂し、生育域を拡大すると考えられます。
こうした推測や検討がなされた上での伐採行為が繰り返されているのでしょうか。充分な思考なく安易な伐採が続き、しかも区画を広げるため以前伐られた区画は放置され、かえって「荒れた」景観を呼び込みます。個人の庭なら「要らない木を伐って、とりあえずスッキリした」でもいいでしょう。
けれど相生山緑地は、自然の樹林地がそのほとんどを占めています。大都会名古屋に奇跡的に残った生態系豊かな樹林地。その行く末を一部の人びとの意見(=好み)や行動にゆだねてしまっていいのでしょうか。行政はフォローしていますか?何年先を見据えて相生山と付き合おうとしていますか?

名古屋市は、相生山の自然な樹林を「気まぐれな庭師」に任せて、責任放棄しているように思えてなりません。理論も方法も姿勢も、「決まったことだから続けている」から脱して、広く市民の感性や意見に耳を傾ける時期だと思います。10月18日 参照記事こちら が、その好機の始まりとなりますように。
by Oak.

園路ギリギリまで伐採された樹林地についての前記事 こちら。


散策中に通りかかって「ビックリした!」数人からの連絡があり、名古屋市の担当部署に現場確認と「伐採理由」の説明を求めました。まだ回答はありません。勝手な憶測ですが、「荒れた森にならないように森づくり活動をしています」と返ってくるのかな?

同じような光景は「オアシスの森」全域に、何か所も見られます。「生物多様性のための伐採地(双子池口上斜面)」「ツツジの園」「爆弾穴=第二次大戦米軍による焼夷弾被弾跡」「桜の園」などなど。
下は「アカマツ林再生プロジェクト」区域の最近の伐採地 参照 こちらです。

「相生山はアカマツとコナラなどの森」と書かれた掲示を見ますが、実際は違っています。マツは生育していますが、自然交配か人工交配植栽のアイグロマツ(間黒松)かアイアカマツ(間赤松)のようです。現在はアカマツなんてないと思います。「アカマツ林再生――」区域でも、自然のマツ林に比べると異常なほど密生したマツと他の植生の混交林が見られます。

相生山を代表するコナラ(小楢)やアベマキ(棈)も樹齢80年を超え、寿命が近づいていると思われます。代わってアラカシ(粗樫)が増え、数年前からシイ(椎)の幼木も育ってきました。相生山はシイ・カシ林への移行の遷移段階にあるようです。「アカマツ林にしよう」としても、母樹になる自然のアカマツ自体が存在しない。土壌からは潜在自然植生の常緑照葉樹が優先的に育ちます。ですから、一旦皆伐区画をつくっても10年足らずで、こうなってしまう。

「暗い森にならないように」と常緑樹を伐採しても、萌芽更新可能な樹高で伐るため、不自然に再生します。自然に逆らって「明るい心地よい森にする」なら、適宜手を入れ続けなければなりません。この先ずっと、実施可能ですか?根絶やししても、やがては常緑樹の樹林になることでしょう。それが自然です。


アラカシ クスノキ(樟) どれも樹齢10数年の低木を伐ったと思われます。伐られて「危機を感じた」樹木は一層盛んに幹を伸ばし枝を張り、光合成のための(=生き残るための)葉を茂らせます。最も多く犠牲になっているヒサカキ(姫榊)も。

もともと成木に近い樹齢で伐られたため、樹高は低くても花をつけ結実は早い。ですから伐られる前より一段と速く繁茂し、生育域を拡大すると考えられます。

こうした推測や検討がなされた上での伐採行為が繰り返されているのでしょうか。充分な思考なく安易な伐採が続き、しかも区画を広げるため以前伐られた区画は放置され、かえって「荒れた」景観を呼び込みます。個人の庭なら「要らない木を伐って、とりあえずスッキリした」でもいいでしょう。
けれど相生山緑地は、自然の樹林地がそのほとんどを占めています。大都会名古屋に奇跡的に残った生態系豊かな樹林地。その行く末を一部の人びとの意見(=好み)や行動にゆだねてしまっていいのでしょうか。行政はフォローしていますか?何年先を見据えて相生山と付き合おうとしていますか?

名古屋市は、相生山の自然な樹林を「気まぐれな庭師」に任せて、責任放棄しているように思えてなりません。理論も方法も姿勢も、「決まったことだから続けている」から脱して、広く市民の感性や意見に耳を傾ける時期だと思います。10月18日 参照記事こちら が、その好機の始まりとなりますように。
by Oak.


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