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ヒメボタルに代わって

 相生山に夏が来ました。ネジキ(捩木) に続いて テイカカズラ(定家蔓)の花も終盤を迎えています。梅雨の気配が濃くなって、ヒメボタル(姫蛍)の羽化も最盛期を過ぎました。
テイカカズラIMG_0040 (640x480) 車_人DSC_0033 (640x427)
 ことしは「新型コロナウイルス」の影響で、「3密」を避けて相生山緑地に来る人が春先から急に増えました。樹林に不案内な「初めて」の人が、どれほど道迷いして「入ってはいけない」箇所に踏み込んでいたことか。「不要不急の外出自粛」を呼びかけた「緊急事態宣言」が、折悪しくヒメボタルの時期に解消されました。懸念していた『相生山でホタル見物』の人波が週末に押し寄せてきました。とりわけ、写真・動画撮影目当ての人びとは深夜になっても居続けています。
 これは先週のウイークデイ23時ころのようすです。緑地の山根口に近い外周道路は違反ギリギリの駐車の列。週末は地域の巡回車やパトカーも出動していました。
 管理者の名古屋市は、「ヒメボタルの環境調査」は実施しているものの、地域住民の環境影響への調査には不熱心。ましてやヒメボタルをはじめ森の動植物を大事にする姿勢は一貫して見られないのが残念でなりません。こちら
山根口東DSC_0039 (2) (640x426) 山根口北DSC_0038 (2) (640x427)
 「ホタルの写真を撮っているだけだ。飛んでいる区域内には入り込んでいないし、自然破壊してないよ」と言われるかもしれません。ヒメボタルの生態を少し学んだ人なら、《飛んでいるのは♂だけ》ということはご存知でしょう。ですから正確には「ヒメボタルの♂だけの写真を撮っている」のですね。狭い通路、数珠つなぎに歩く見物人から機材と自分を守って、良いアングルを確保したいカメラマンが三脚を据え付けた、すぐ傍の園路脇にヒメボタルの♀は潜んでいるかもしれません。
 先日の相生口の竹藪沿いでのことです。懐中電灯で足元を照らしながら坂道を下りてきた人がいました。光が見えたとたん、竹藪の出口でカメラをセットしていた男性2人が大声で「ライト消せ~っ!」と叫んだのです。消灯して、間もなく通りかかったのは小学低学年の女の子を連れた夫婦、お母さんはすっかり委縮していました。「ホタルに灯りは禁物」は常識と言えばそうなんですが、叫んだ連中は≪光が入って自分たちの撮影のジャマになる≫からだったのです。こうしたことが頻繁で、気分悪くして帰っていく人のつぶやきが時にSNSで流れています。
 この日は、いつも監視に来ているオジイサンが「ホタルは光で交信して子どもを産む相手を探しているんだよ。たった10日足らず水だけ摂って。だからジャマしないで」と説明して「よかったら案内するよ」と言ってくれていました。
 
 ヒメボタルを大事にしたいなら、その生存している環境すべてを大事にしなくてななりません。水や空気や温度や土や植物や他の動物たち、相生山緑地に人が与え続けている圧力のすべてを省みていただかなくてはならないのです。

 「ホタルを大事に」と言っている人たちの中にも、「こんなキレイな蛍、あんたの子どもや孫にも見せたいだろ。だから、道路つくらせたらあかんのや」と説いているのをよく聞きます。《何か違う》と思ってしまいます。それって結局、あなたたち人間のため?「ホタルを見たいために、見せたいために」自然を守るの?
 「道をつくれ」と未だに言う人たちは「人とホタルとどっちが大事や!」と2択を迫ります。
  橋脚ギャップIMG_0130 (640x427)
 ヒメボタルなどの野生のいのちが生きる環境を破壊していけば、自然の一部であるヒトの生存存続も危ういかもしれない、とどうして理解できない?「コロナによる経済活動抑制によって自然環境が好転した」「これまでの生き方を見直す契機にしなければ」という主張も見られるようになってきました。でも、それは未だ未だ一部です。
 ほんの20年前までは「ヒメボタルのステージ」と呼ばれていた、稲田口近くの谷の合流点。樹木が伐られ、コンクリートの橋梁・橋脚が立てられ、工事中止~計画廃止宣言が出されて、最近はやっと戻ってきた感があります。
 「道路工事を止めなければ相生山の森は壊されてしまう。みんなに訴えるにはヒメボタルの存在を公開するしかないかも。けれども、そうしたら大勢の人が押しかけて、上手く規制できなければ別の環境破壊を呼んでしまう」と苦悩した先人たちの思いは知らず、「私たちがホタルを有名にしてあげてるのよ」「相生山も注目されて良かったね」と思いあがったかの言動が真夜中の森で起こっています。翌日のSNSに投稿され続けます。 参照:過去記事、リンクに資料 こちら

 真夏を思わせる青空に、クリ(栗)の青葉。枝先に花の穂が伸びてきました。梅雨が来る前に!ヒメボタルの生殖期間、残された時間はもうあとわずかです。
栗花①IMG_0018 (640x427) 栗花②IMG_0017 (640x480)
 人間たちはヒメボタルの♂の飛翔を楽しみます。けれど、ヒメボタルたちにとっては、実はヒトは来ない方がいいのです。人が有難がる『絶滅危惧種』にしてしまったのは、人の経済活動の結果ではないですか。
 深い森に閉ざされていた縄文の時代、いえ、それよりももっともっと昔から、ヒメボタルはここで生き続けてきました。ヒトが地球史に登場する前から。相生山の近くにやって来るズーットずうーっと昔から。

    by  アイ

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Re: No title

野付ウシさま

 ていねいに読んでいただき、ありがとうございます。
 ホモサピエンスは天変地異ではなく、その業ゆえに滅亡するのだと思います。
 
 間に合うかどうかは悲観的ですが、
 わたしたちは、現場で地域でネットで役所で、
 問いかけ提案し発信し要請し働きかけて、
 現代に生きていることを全うしたいと思います。

 小さくても共感や呼応や動きが起こって、
 間に合うことを望みますが、でなかったとしても、やれることを続けます。
 

No title

こんにちわ。あれやこれや..仰るとおりです。結果として自分の欲望のためなら他のものは排除する!!これが現代人かもしれませんね。写真撮影では「撮り鉄」と同じで、撮影の邪魔になるものは排除し、立入禁止でもズカズカ入り込みますね。役所もいろんな意見は聞くけど「一応聞いたよ」のための動きしかしません。相生山だけに限らず全国で似たようなことが起きていますね。世界自然遺産となった知床では、観光客がヒグマを見るために車を停めて、外に出ていたりします。そこら中に注意の看板があっても見えないふりです。人馴れしたヒグマは結局「殺処分」されてしまいます。
また貴重なエゾフクロウを撮影しようと山に入り込み、生息場所が特定されると、他のカメラマンが押し寄せます。結局フクロウはその地を終われることになります。こんなことが、そこら中で起きています。私もカメラ持って山歩きしてますが、偶然出逢った動物たちを撮る以外に、追跡したりはしません。みんなそうして欲しいですね。こんな話は言い出せばきりが無いですが、山でも街でも動植物は大切にして欲しいと思っています。とりとめないこと、長々とスミマセン..m(_ _)m
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Author:森の妖精 アイ
名古屋の相生山(あいおいやま)緑地 大都会に残された貴重な森のことをたくさんの方に知っていただくため情報発信していきます
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