つい先日のことです。相生山緑地の南部の住宅地、徳林寺さんの北側道路ぎわのようすが変わっていました。建物や「焼き物」窯が無くなった!

ここには以前、学童保育所がありました。この東隣りの坂は「学童坂」と名付けられています。「学童」は少し前から、別の場所に移動していました。
名古屋市の財政的理由と、それにもまして緑地内に永年住んできた人びとの合意が得られぬまま「長期未整備」状態が続く、相生山緑地。第一期事業化が始まり、売買合意=立ち退きが決まった土地の、構築物や植栽の撤去が所有者の責任において進んでいるようです。
ここもそうだったんですね。

地主と名古屋市、当事者間の権利の譲渡について、第三者が口を挟むことは法的には不可能だとは思います。
しかし、「ずうっと長い間親しんできた景色が失なわれるのは、寂しいねえ」「さっさとお金に換えたい人もいれば、慣れたところに住み続けたい人もいるんだよ」といった緑地内住民の声。
なかでも「世界のAIOIYAMAとか言って、ここをどんなふうにするのか分からんままで出ていくのは納得しがたい」の主張には共感できるものがあります。

「桜並木」の通称で親しまれてきた沢筋に近い区域。少しずつ市有地区画が増え、住宅・農耕地・樹林・更地が入り交じります。

この通り沿いにも、新しい更地が見られるようになりました。相生山の雑木林がモザイクのように浮かんでいます。この辺りでは「早く売って出ていきたいんだけど、市が動いてくれん」といった声を聞いたことがあります。「事業化=市による買取」が始まって、さっさと引っ越した人もいるのでしょうね。

ところで、名古屋市は税金を使って買った土地をどうするのだろう。漠然とした「環境保全区域」の看板はあるものの、具体的な方策がないまま「不法耕作地」になってしまっている区域もあります。
「長期未整備緑地」は市民共有の「公園緑地」として、市民のために使われるはずでしょう。「世界のAIOIYAMA」は、どんなものになるのか。「素案」への批判も多い中、意見交換会は中断したまま、次の方向が示されないままになっています。

土地を買って欲しい地権者の要求は分かります。一方、このまま住み続けたい住民の思いも当然でしょう。誰をも納得させようとするなら、先ずは相生山緑地を名古屋市民のためにどうしていくのか、みんなに図り、声を聞く作業の熱心さが求められると思います。
どうするのか、が明らかになって初めて、土地所有の移転が可能にるのが道理と思うのですが。
「決まっていることだから」「いろいろあるだろうけど、とりあえず」の姿勢では、大多数の理解は得られませんし、禍根を残すのは目に見えています。
対象の地元住民に対する「事業化のための説明会」が開かれているようです。当局の姿勢が試されると思います。
by アイ

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