「西の森」へ行ってきました

印象は「意外と貧弱な森だなあ」のひと言。上の新聞記事から、人工とはいえ、もっと「森らしい森」が広がっているのかと思っていました。
土地の高低差が無い。樹種が少ない。空中湿度が感じられない。人が利用する、たとえば「芝生広場」のような公園施設や1tトラックも走れそうな幅広園路、乾燥化のおそれはないのでしょうか。
「人工の森林でも100年くらいの遷移を経れば、自然の森林と言ってもいいかもしれませんね」とは、自然観察の先達の言葉。なので、もっともっと長い目で見る必要があるのかもしれません。


それにしても「この辺りの種を植えた」と聞いていましたが、名古屋市の自然植生では無いはずのクヌギが植えられていたり、ムクノキ(エノキも混ざっているようでした)の純林とも思える植栽林があったり。そう離れていない区域に、やたらと園芸種のサクラが植えられていたり。名古屋市と連携して、ボランティア団体が植樹・除草・枝打ち・除伐などの「森づくり」を続けているようなので、そうである限りは「人工の森」からの脱却は難しそうです。


広々とした戸田川の流れは、周辺開発によって水脈の断たれた相生山とは違う魅力も感じました。野鳥は喜ぶだろうな。
でも、これだけ空が開いていれば、小さな野鳥は身を隠すところが無いのではないかしら。必ずしも「生態系が豊か」とは成りにくいようにも思えました。

相生山は、さかのぼれば農用林として使われた時期、焼き物の燃料供給林だったであろう時期、さらに旧石器の遺物、数百万年前の「東海湖」の痕跡。
それに比べると「西の森」の20年はあまりにも新しすぎますね。そして、人の思わくと手が入りすぎてる。そのことに価値を置く人もいるのでしょうが。
紅葉晩期の相生山の樹林です。高木層のコナラから中低木の常緑樹、草本層のツツジ類まで森林の階層がそろっています。


道路工事によって伐採され、一時的にギャップになった区域も10年経って、もじゃもじゃわんさか森が復活してきました。
「近くに森があったらいいね」と思う人びとの気持ちが分からないではありません。でも、お金と労力と時間をかけて「森づくり」をするくらいなら、都会の中でも更地が森になっていく過程を学んだりできるはず。
いちばんは、名古屋市が「開発」に歯止めをかけて、今ある樹林地や「樹林候補地」を確保することだと思います。そして、自然の森と人工の森の違いを学ぶ必要があると思います。
「みどりが大事」「森づくりしたい」と考えている人は、道路建設という開発から免れた相生山へ、一度足を運ばれることをおすすめします。あんまりたくさんの人が来ないで、ほどほどが良い、が本音ではありますけれど。
by R.62

