これまで「森の手入れが必要」という主張の背景やさまざまな問題点を、8回にわたって述べてきました。
読者のみなさんには「森の手入れ」が不必要で、かえって誤った結果を生んでいることをご理解いただけたかと思います。

それでは最後に、私たちが今やるべきことは何なのか、私なりにまとめてみたいと思います。
提案 本当に必要なこと 絶滅危惧種を守るためには、
「里山モデル林」を維持する、理にかなった方法を考えなくてはいけません。
「かく乱依存種を守る、氷河期の遺存種を守る、生物の多様性を守る方法」として、今考えられることは
第1は、
里山イニシアティブの精神を重んじ、里山の
開発を抑える。
第2は、
長期的計画としては、
市街地と化した氾濫原から一部分人が撤退する。
それを自然に戻し、生育・生息地を拡大する。
《氾濫原の再生・確保》 第3は、
上記2項を
推進するための法律の制定。
などです。
第2は、主に河川環境地域を拡大することを意味します。
例えば、遊水池として利用されていた場所が住宅地になってしまっています。それを再度遊水池として使う。また河川幅を広げる、特に天井川になっている部分は優先的に実施してゆく。また、河口に近い0メートル地帯はなるべく自然公園のような利用をするなどです。
そうすれば、自然再生区域として利活用することも考えられます。地震による津波や、気候変動や異常気象による、洪水、海面の上昇への対策にもなると思います。
天白川~野並水田風景1964年 「人が撤退する部分を設け、そこを本来の氾濫原とする」方針を組み入れたコンパクトシティを視野に入れたマスタープランを作成し、遂行できる条例の制定と都市計画の決定を20-50年のタイムスケールで計画することによって初めて、生物の多様性を復元することができます。 しかも、それにとどまりません。急激な人口減少が見込まれる中、公共投資も減少せざるを得なくなります。ですから、これからは効率の良いコンパクトシティを目指さざるを得ません。
「人が撤退する部分を設け、そこを本来の氾濫原とする」ことは、防災、地域コミュニティを支えるインフラ基盤の維持、無駄の少ない経済活動等など、より機能的な未来都市のため、現実的で実行可能な政策として期待することが出来ると思うのです。
相生山から名古屋市街地を望む 長い連載をお読みいただき、ありがとうございました。
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by てんてこマイマイ
theme : 名古屋・愛知
genre : 地域情報