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看板 変わりましたが・・・

相生山緑地の 「アカマツ林再生プロジェクト」について
看板2IMG_8582 (2) (800x543)
問題点を根本的に洗い出して このブログでも取り上げました 
 過去記事 ぜひ一読願います 初回とまとめのlink紹介します 
 「オアシスの森の再生プロジェクト(1)(6)

そして 7月27日に名古屋市へ意見書提出
このことは「世界のAIOIYAMAプロジェクト検討会議」第3回(9月10日)でも
報告されています

その後 緑政土木/緑地事業課や天白土木の担当の方々と意見交換も行い
最近になって 現地の説明看板が
立て換えられました 松プロジェクト

私たちの要望は
 事実から出発し 市民の意見も取り入れて
 未来永劫に耐えられる 相生山緑地の公園基本構想を

ということでしたから 看板の表示内容の変更にとどまらず
名古屋市の 今後の対応について 推移に注目していきますが

とりあえず 新しい記述内容について 以下気づいた点を
新しい看板表示

(1)歴史的事実の認識にあいまいさがあります
 ①「松の林」は どんな種類のマツで どのような状態の林か?
 ②「戦争中伐採、その後植林」 経緯は正確か?
 ③「地元などの方々は・・・」住民の印象を 事実と置き換えてないか?

(2)マツなどの特徴についての認識が不充分では?
 「痩せて乾燥した土地に適した植物」
  → 痩せて乾燥した土地でも生育することが出来る
  ※土壌が堆積するとコナラ・アベマキなど他の植物が優占する
 
(3)植生遷移についての誤った認識があります
 「未整備で放っておかれたため」ではなく
 時間経過と共に 土壌が形成・堆積されれば 遷移は進みます
 自然の遷移を 人間の行為で 止められるかの如く 考えているようです

 裸地や草本低木層に マツがまばらに生えた状態が長く続いたのは
 窯業や住民の生活燃料として オーバーユース状態だったからでしょう
 それが止まれば 植生の復活・遷移も始まります

(4)「他の植物を取り除くとマツが自然と生えてきました」
 しかし現在 このエリアでは マツを超す勢いで
 ソヨゴやヒサカキなどの常緑樹 ガマズミやアベマキやアオハダなどの
 落葉樹が生い茂りつつあります  【下の画像参照】
 このままでは マツ林には なりそうにはありません
 それは 遷移や気候の変化によるもので これが自然です

    IMG_9410 (2) (640x480)

(5)人の施策によるもの=植林 と 自然植生との混同がありませんか?
  ・・・街道のクロマツ 江戸期「御林制度」の松茸採取用アカマツなど 
 「昔懐かしい景観の復元」と「自然回帰」とは 必ずしも一致しません

 植林や伐採するには その状況での理由があるはずです
 今 なぜ どのような状態の森にするのに どういう意味があるのかを
 率直に記述し 理解を求めるべきではないでしょうか?


このブログでは 「森の手入れを考える」の連載を始めています

名古屋市の担当の方々や 相生山緑地に関わって来た
関わろうとするみなさんにも 参考にしていただき
たくさんの方と いっしょに考えていきたいと 願っています

       by  Oak.+てんてこマイマイ

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genre : 地域情報

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オアシスの森の再生プロジェクトについて(6)

古代からの相生山の森のようすを 推察してみます

千種区・天白区・名東区などは 猿投古窯群の中心地です。
 焼き物製造地としては 粘土・水・燃料・運搬の便などが 
 そろっていることが有利になります。

 弥生時代より 焼き物は東海地方から近畿方面へ 
 運ばれていたか 影響を与えています。
 7世紀ごろから 焼き物が行われていたようで
 鎌倉時代には 多くの焼き物が作られ 
 この天白から 近畿方面へ運ばれています。

 あゆち潟の海岸線は 今より内陸まで入り込んでおり 
 野並・島田・植田・日進方面は 海上輸送に有利な場所であったことに加え
 粘土・水・燃料も その場で調達をすることが出来ました。

この燃料として 森が伐採され使われたと思われます。
当時の森の様子は 花粉分析によって ある程度推察することが出来ます。

古代から中世にかけて 森の利用が高まると おそらく照葉樹であった森は
コナラ―アベマキ コナラ―アベマキ―マツと変遷したのでしょう。
 参照文献:遺跡からのメッセージ~発掘調査が語る愛知の歴史
     加藤安信(編) 中日新聞社 発行

その後は 江戸時代の絵などを見れば 
マツ(疎林)が中心で 萩・ススキなどが生える
はげ山に近い森のような印象を受けますから
戦後間もないオアシスの森と あまり変わらない様子が想像されます。
 参照文献:「尾張名所図解」のうち「中根村」(瑞穂区)
     名古屋都市センター広報誌「ニュースレター」
     特別企画「なごやのまち今昔」より


推察をまとめると 
相生山緑地の植生のおおまかな変遷は 
 古代:照葉樹?からコナラ―アベマキへ(焼き物の燃料)
 中世:コナラ―アベマキ
 中世~近世:コナラ―アベマキからマツへ
 近世~燃料革命:マツ(疎林と低木)
 燃料革命後:一時的にマツが優占
 以後:コナラーアベマキ
このようであったと思われます。
 
今 オアシスの森に どの時代の森を「復元」させるというのでしょう。
伐採後2IMG_8446 (800x600)
    「マツ林再生のために」 現在進められている「手入れ」


事実誤認を改めて プロジェクトを再点検することが必要です
 
 これまで 現地の看板に書かれていることの 反証をいたしました。
 科学的事実に基づかない主張は えてして
 別の 欲目的のためにされる のが常です。

 何らかの 理由で
 アカマツ林を作りたいのであれば 
 その意義を まず議論していくことが必要です。

 もちろんその際には 専門家や市民の
 豊かな見識や 広い意見を聞くことも 求められます。

 その過程があって初めての 「プロジェクト」ではないでしょうか。
 名古屋市緑政局・天白土木事務所など
 相生山緑地に関わるみなさんの 再点検を求めたく思います。

        by  てんてこマイマイ

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オアシスの森の再生プロジェクトについて(5)

相生山(オアシスの森)の植生の流れを 今一度まとめてみると

戦後しばらくの間・・・・・森を利用していた時期
 1 はげ山に近い状態の【マツ―ツツジ】【ヒサカキ】などの群落
  林とも言えないぐらいの まばらな【コナラ・アベマキ】【クロマツ】など
  そして 【桑畑 → 野菜畑】 としてあらわされるような土地利用

石油の普及以後・・・・・・森の利用が激減
 2 松の利用(ゴウカキなど)がなくなり マツが成長 → マツ林ができる
 3 マツクイ虫と土壌の変化による マツの後退コナラ林の拡大
 4 カシノナガキクイムシによる コナラの減少多種な樹木の生長
 5 シイの出現が見られるようになった
   (スダジイか ツブラジイとその中間的なものか は未だわからない)

看板

なお 看板にある「ゴオかき」という言葉ですが
 「ゴウ」・・・・・・松の落ち葉
 「ごうかき」・・・・①熊手 ②ゴウを集めること
 「ごうかき」をする・・・松の落ち葉を集める というような意味で

 「ごうかきをする」目的は 燃料を集めることです。
 マツに適した土壌を作ること ではありません

 自然や人の行為の事実や 言葉の意味を間違えたのか
 それとも「アカマツ林再生」という目的のために 
 故意に捏造したのかは 分かりませんが
 ここでも 言葉が 事実とは異なって使われています

これまで 戦後の森の様子を書きました。
ところで それ以前は どうだったのでしょう。
森が利用されていて マツ林が成立した時代は なかったのでしょうか。

      by   てんてこマイマイ

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オアシスの森の再生プロジェクトについて(4)

相生山のマツ林成立

石油を使いだすと 松の利用も減り 
マツの生育に都合のよい痩せた土壌では
腰の高さにも満たないような マツの幼木が 
勢いよく成長をし始めました。


そんなに時間を要せずに マツは中高木へ成長をしました。
その時のマツ林(クロマツ、アカマツ、アイグロなど)の痕跡があるのです。

つまり 人の利用がなくなり マツは成長した のですから
看板で書かれていることの正反対 ですね。

伐採後1IMG_8445 (800x600)
  「オアシスの森づくり」現場  看板に書かれた方針で 
  伐採・整備が進められていますが・・・。
伐採後繁茂IMG_8444 (800x600)
  常緑低木が伐採された後 マツだけではなく 
  様々な木々も いっせいに成長しています。   2015.6.24


その後の植生の移り変わり

その後 マツ以外の様々な木々も後を追うように成長をはじめ
(部分的にはクスノキが顕著な場所もあります)

そして マツクイ虫の被害が始まりました。
土壌もゴウカキがなくなり マツの成長には適さなくなってきました。

ついに マツは一部名残を見せながら 
コナラが優占する森が広くなってきます。

そのコナラも カシノナガキクイムシによって 
かなり個体数が減ったようです。

そのギャップでは 太陽の光を待ち望んでいた低木たちが
一斉に背丈を伸ばし始めています。

その中にはシイノキも見られます。

それが 名古屋東部の森の変遷の主な形になります。

ギャップIMG_6305 (640x480)
  コナラ林と枯損木のギャップ   2014.10.10

次回で これまでを 少しまとめてみます。

        by てんてこマイマイ

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オアシスの森の再生プロジェクトについて(3)

森の利用 そして 生活スタイルの変化

かつて 名古屋東部丘陵地あたりでは 
マツや松の落ち葉の “ごう” は 薪と同様に 
炊事や風呂焚き たき火などに使われました。
松は油成分が豊富なので 火力も強く
他の落ち葉に比べて 利用価値は高かったと思われます。

昭和30年代から 石油を使い始めたのですが 
それまでの “かまど” で 薪をつかっての炊事は
石油・ガスへと変わり かまどや薪を使わなくなりました。
お風呂でも 薪は使われなくなりました。

相生山IMG_7608 (4) (800x659)
昭和39年/1964年の相生山緑地の様子です。
森が利用されなくなり 樹木が成長を始めるころの冬の風景
―マツ・ヒサカキ・ネズ・枯れたススキなどが よく分かります。

石油が普及していなかったころは 
よく燃える松は 落ち葉も含めて 燃料にされていました。
だから ほとんどの松は 大きく成長する間もなく
背丈は2メートルにも届かない マツ林と言えない
マツ―ツツジ群落を形成
していました。


松が少ない場所では 人の利用も少なく 
ヒサカキが優占する部分もありました。

さて では大量の松枯れがあり 
松林の痕跡を感じられるのはなぜでしょうか?
また 松が多い森では 火事の延焼にも勢いがあり
確かに以前 相生山でも 火事が起きています。

いったい いつ相生山に松林が出現 したのでしょう。

      by てんてこマイマイ

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オアシスの森の再生プロジェクトについて(2)

森を利用していたころの 森の様子はどうだったのでしょう

そのころ 例えば 徳林寺の北(現在学童保育所がある付近)には 
およそ0.2ヘクタールほどの松林がありました。
 
また 野並集落の高台の部分(相生28番地の西方)にも 
高木のマツが まばらに生えていました。
その他の場所 特に人家の近くに 多少あったかもしれません。

しかし それらのマツは 伐採せずに残っていた感じのものです。
それらは疎林で 現在の相生山緑地全体から見れば 
ごく一部分でしかありません。

緑地南部IMG_7612 (3) (800x658)
昭和30年/1955年の航空写真  
畑地は 白い四角形に見えています。 
黒いところは ヒサカキなどの常緑が混じる低木群落。
大部分を占めるグレーの部分は 「はげ山」に近い状態 でした。
下中央が徳林寺 敷地内に大きな水滴形が写っていますが 
その北西側の黒い部分が前述の松林です。 

当時 相生山の一部分に存在した松林は
美保の松原のような立派なものではありません。
自然に残っているというよりは 人為的に残されている感じさえしました。
残す何らかの理由が あったのかどうかは分かりません。

また それらの松林は アカマツではなく
クロマツが ほとんどだった と記憶しています。

(アイグロマツやアイアカマツも多少混じっていたかもしれません)

ですから
人が森を利用していた場所には 松林はなく
残されていたと思われる松林 それらを含めても 
看板に書かれているような
アカマツ林はなかったのです


では 当時の人々は 相生山の森をどう利用していたのでしょう。
それから森は どのような変遷を 見せてきたのでしょう。

      by   てんてこマイマイ

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プロフィール

森の妖精  アイ

Author:森の妖精 アイ
名古屋の相生山(あいおいやま)緑地 大都会に残された貴重な森のことをたくさんの方に知っていただくため情報発信していきます
人と自然の関わりについて ときに思いを述べます ご意見コメントいただければ嬉しいです
 
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