タケノコカワニナからの警告

発見された絶滅危惧種、その生息地は「埋め立て予定地」だった、計画変更はせず移植した。記事にはそう書かれています。
何か変。もし計画検討中に発見されていたら、どうなったのだろう。
《そこに生きているからこその》いのちなのに、別の場所に移したら意味がなくなるんじゃない? 生きものって、自然って、環境って、そういうものじゃないの? そんなことを考えながら・・・

名古屋市のホームページで〔大江川 埋め立て〕検索して https://www.city.nagoya.jp/kankyo/page/0000122921.html
・・・とにかく現地へ行ってみました。


名鉄常滑線の大同町駅から北へ、大江川の左岸です。流れは見えなくて、川というより入り江の感じ。対岸の不燃ごみ・粗大ごみ破砕工場が目立ちます。10羽ほどの水鳥を眺めながら堤防道路を上流方面へ。50年前に暗渠にして造った大江川緑地、その下流部10.3haを更に埋め立てる計画らしい。


記事で特に気になったのは、この部分。大地震で「汚染土が出てくる」から「埋め立て」。つまり根本的な処理はしないで、隠しちゃうってことですよね。無害なものにはならないんですよね。大地震による津波や液状化が想定以上だったら、どうなるのかな?「当時の科学では最善を尽くしました」って後の世の人に言い訳するのかな。
以前に有害物質を埋め流失防止策は施しましたが、東日本震災の教訓から更に範囲を広げて埋めることにします。。。安心できますか?この地域は危ないから逃げよう、と先導するのが筋じゃないのかな。

大江川右岸、どのあたりが干潟になるんだろう。潮の時間は気にせずに出てきたことが悔やまれました。記事と市の計画書地図で見る限り、この川岸や水面下にタケノコカワニナが住んでるんですね。一部は移植されても、埋められて絶滅する個体も生じる。


さらに河口部まで行ってみました。名古屋高速の下の開橋。工業地帯と名古屋港、この辺りに防潮壁を新設し、それより上流部を埋めてしまう。いつ出るか分からない「リニア工事残土」で。3年前の記事を見つけました。こちら
この途方もない大工事、完了まで何年かかるのでしょう。地震は(自然は)ヒトの都合に合わせて待ってくれませんよね。関東大震災100年特集が放映されました。今の名古屋市、学んでないのじゃないですか。


地球上の《絶滅危惧種》を生み出した要因の多くは《ヒト》によるものでしょう。発見を評価する反面で、その種がどうして絶滅に至ろうとしているのかを省みる必要があると思います。簡単に「保護」「移植」を選択する前に、自らの行為を謙虚に見直す。
どうすればいいのかをみんなで考え直す。そのための情報を行政やメディアや専門家や政治家は発信し、人びとに問いかける責任があるのではないかと思います。そうしたことを疎かにして、二者択一の結論を急いだり既定路線にこだわったり、あげくは狭い利益を守ろうとしたり。そうしたことが私たちの未来を危ういものにすると考えます。
相生山の道路のことを考えるとき、未だに「人のいのちとホタルとどっちが大事か」と問うてくる人が少数ながら存在します。私たちは答えます。人のいのちが大事だからこそ、ホタルのいのちを大事にしようとするのです。
タケノコカワニナの警告を、私たちはきちんと受け止めようとしているでしょうか。
by Oak.



