「森の手入れ」を考える(9)

 これまで「森の手入れが必要」という主張の背景やさまざまな問題点を、8回にわたって述べてきました。
 読者のみなさんには「森の手入れ」が不必要で、かえって誤った結果を生んでいることをご理解いただけたかと思います。
      葉書塔付近
 それでは最後に、私たちが今やるべきことは何なのか、私なりにまとめてみたいと思います。

 
  提案 本当に必要なこと

 絶滅危惧種を守るためには、「里山モデル林」を維持する、理にかなった方法を考えなくてはいけません。

 「かく乱依存種を守る、氷河期の遺存種を守る、生物の多様性を守る方法」として、今考えられることは
 第1は、
  里山イニシアティブの精神を重んじ、里山の開発を抑える
 第2は、
  長期的計画としては、市街地と化した氾濫原から一部分人が撤退する
  それを自然に戻し、生育・生息地を拡大する。 《氾濫原の再生・確保》 
 第3は、  
  上記2項を推進するための法律の制定。
 などです。

 第2は、主に河川環境地域を拡大することを意味します。
 例えば、遊水池として利用されていた場所が住宅地になってしまっています。それを再度遊水池として使う。また河川幅を広げる、特に天井川になっている部分は優先的に実施してゆく。また、河口に近い0メートル地帯はなるべく自然公園のような利用をするなどです。
 そうすれば、自然再生区域として利活用することも考えられます。地震による津波や、気候変動や異常気象による、洪水、海面の上昇への対策にもなると思います。
天白川~野並 1964
                天白川~野並水田風景1964年  

 「人が撤退する部分を設け、そこを本来の氾濫原とする」方針を組み入れたコンパクトシティを視野に入れたマスタープランを作成し、遂行できる条例の制定と都市計画の決定を20-50年のタイムスケールで計画することによって初めて、生物の多様性を復元することができます。

 しかも、それにとどまりません。急激な人口減少が見込まれる中、公共投資も減少せざるを得なくなります。ですから、これからは効率の良いコンパクトシティを目指さざるを得ません。

 「人が撤退する部分を設け、そこを本来の氾濫原とする」ことは、防災、地域コミュニティを支えるインフラ基盤の維持、無駄の少ない経済活動等など、より機能的な未来都市のため、現実的で実行可能な政策として期待することが出来ると思うのです。

  朝の街IMG_8770 (640x480) (3) 相生山から名古屋市街地を望む 

  長い連載をお読みいただき、ありがとうございました。
  忌憚のないご意見ご感想をお寄せいただきますよう、お願いいたします。

          by  てんてこマイマイ

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genre : 地域情報

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Re: No title

kumi.Mさま

ありがとうございます
少しづつでも 思いを同じくする方が
増えてくれると 嬉しいのですが

No title

こんばんは
自然を守ろうと活動されている姿に感銘をうけています。
たくさんの方が活動に関心をもってくれるといいですね。

Re: No title

クーさま

> 今の日本の政治は国民は完全に無視されていますね。
> 国民のためではなくいつも自分たちの利権と保身だけが政策決定の判断基準。
> 開発と環境保全の問題も、考えずに利権がらみで方針が決まっているんでしょうね。

人間のしあわせ その未来を真剣に考えるなら
日本はもちろん 世界中のどの国の為政者も
振りかえり 考えるときが来ているはずです

わたしたちの思いを しっかりとした力に変えて
現実政治を変革していくための 具体的実践が求められていると
思い続けています その成果は遅々としていますが
きっと 多くの人々の心に届くと信じて
だって ヒトは生き残ろうとする動物の本能を持っているはずだから

Re: No title

ウリカエデ 様

コメントありがとうございます。

生き物が大変なことになっていて、それをどうしようか、真剣に考えておられることがコメントからひしひしと感じられました。

海の生態系も相当壊れてきているようですし、外来生物が猛威をふるい、生態系が変わってしまう。そして、なんといっても、近視的な人間の開発や生活スタイルが、人間そのものを窮地に追いやっていく状態は否めないと思います。このままですと、生き物たちだけでなく、私たちの生活も脅かされ、今までのような生活は望めなくなってしまいますよね。

(人間中心の考えで申し訳ありませんが)この状況では、生活に必要な生態系サービスは受けられなくなってしまいますから。
この現実を多くの方が知り、一刻でも早く対策を講じなければいけないと思います。

環境省の提案していて、今では「森の手入れ」の根拠の一つにもなっている「里山里地保全活用行動計画」はある程度は理解はできますが、生態系を大きく劣化させた一番の原因に正面から対峙しているとは思えませんので、生態系の劣化の進行を止める大きな力にはならないと思います。

私たちに必要なのは、生態系の劣化を大幅に緩めることが出来るものだと思います。

そのためには、過去の人類の生き物への影響はどのようにされたのか?スピードを緩めるためにはどうしたらいいのか?を、今までの価値観を捨てて、(経済優先ではない)新たな価値観に基づいて、科学的に検証をしなければいけないと思います。

最後に9回にわたるシリーズおよびこのコメント意見は、必ずしもこのブログの共通認識ではなく、今はまだ個人的な見解であることを付け加えておきます。

No title

おおよそ読みました・・・。

忌憚のないということなので、勇気を出して。
感想ですがそうだと言える部分もありますが、首をかしげるところも素人目ですが感じました。
確かに、かつては開発の詭弁のために「手入れの必要性」という無理矢理なごりおしがあり、とんでもないと今でも思いますし、事業ありきで生態系や様子を見ながらではない森の手入れという名の間伐計画があるのでそこは大いに憂えるところです。
未だ大高緑地に恐竜のテーマパーク構想があるのを読んで、本当に森や自然を保全する政策が行われないもどかしさも感じています。
歴史的な背景、これからどうあってほしいか、を拝読しましたが、人の住む場所の本来望ましくない箇所からの撤退、、現実には実現にかなりの年月要しそうですね・・・。(土地利用的にも、政策的にも)
以前、田中前長野知事が脱ダム計画で水害面などから似たような案が提示されましたが、戸惑う住民の声をテレビで見た記憶があります。
その前に、生息可能な自然攪乱地にたどり着けず絶えてしまう種が現れるような気がします。
開発されて、森や生物の生息地が狭められる=新たな攪乱地(この場合は自然的に発生した)に移動できるチャンスも無くなると言うこと、ですよね。
すべてを里山や二次林にすることは賛成しませんが、照葉樹林は守られて欲しいけれど、生態系を保全のための緩やかな管理はあってもいいと思うし、人為で移動制限されて明らかに種が絶えそうな生きものには最終手段としての人為による保全もあっていいと考えています。
二次林の保全についてはまだ科学的な論証を聞く機会が少ないです。
湿地の保全についての保全策と実際の様子は見聞きする機会が出てきていますね。
まだ、この問題については、イデオロギーが主となっているところが多く、科学的に検証する機会がとても少ないのが気になります。
実際にどう生態系に変化があって、何が良くなかったのか、確かに遙か先の時間軸までは見通せないとしても。
歴史的には確かに里山としては管理はされてこなかったけれど、今後の、この先の今ある生きものの保全についてどうするのか・・・。
万博での例の意味のすり替え論と、実際の里山管理の是が非は切り離して考えることも必要なように思います。
済みません、皆さんの意には沿わない意見ですが、腑に落ちきれないものを感じたので、ここにコメントさせていただきました。

No title

今の日本の政治は国民は完全に無視されていますね。

 軽減税率を譲らない公明党、安保で借りを作った自民党が融通して、自分たちの保身を図ろうということなのでしょう。軽減税率を通せば国民も公明党を見捨てはしないだろうとタカをくくっているんだろうな。それが不愉快です。
 国民のためではなくいつも自分たちの利権と保身だけが政策決定の判断基準。
開発と環境保全の問題も、考えずに利権がらみで方針が決まっているんでしょうね。

 国民を無視して、よくも「国民の財産と命を守る」なんて空々しいことが言えたもんですね。国民がしっかりと意思を表明しないくてはいけませんね。
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名古屋の相生山(あいおいやま)緑地 大都会に残された貴重な森のことをたくさんの方に知っていただくため情報発信していきます
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