「森の手入れ」を考える(8)

 「生物の多様性を守るため」の誤った方策

 この愛知県はもとより全国的にも、「里山を以前のように手入れをして生物の多様性がある状態にしなければいけない」という論調は事実と異なっていて、期待される効果はないと思います。

  朝の尾根道 自然の遷移に任せた森 

 それどころか、その主張が生物の多様性に危機感をもって行動する人たちをミスリードし、生態系劣化の根本的なこと、つまり「開発が絶滅危惧種を作っている最大の原因である」ということを知るべき人たちを、その真実から遠ざけているのではないでしょうか。

 例えば、冒頭で述べた「総合開発計画」と「2005年愛知万博」と「森の手入れ」については、「自然を大切にしたいから開発に反対」という人たちに二次林の手入れをさせることによって、そのことが自然を守ることだという誤った意識を持たせ、本質的な問題である開発による自然破壊から目を遠ざける効果をもたらしてしまった可能性があります。

    手入れ後2 相生山の「森の手入れ」

 自治体の中には「森に手を入れなければならない」という講座を開いて市民を参加させ、その人たちに緑地政策遂行の市民代表のような役割を担わせています。さらに委員会の委員として根拠や実効性のない緑地政策の担い手とし、多くの市民を誘導しているのではないかと危惧します。

 こうしたことよりも、コナラ-アベマキの二次林よりも極相に近く、ほとんど消失してしまった、この地域の本来の生態系に近い照葉樹の森を守ることを意識しなくてはいけないでしょう。
 照葉樹林は、生物の多様性では本来あるべきところにある生態系として位置づけられているにもかかわらず、「生物の多様性が貧弱である」というような間違った声さえ聞かれることがあります。
 「森の手入れ」によって、照葉樹林地域で暮らす種の中には迷惑を被るものもあるでしょう。

      アベマキ夕陽
 
 多くの絶滅危惧種を守るという理由で「森の手入れ」をすることは、効果も定かではありません。また、何百年何千年もの間、手を入れ続けなければなりません。未来のことは現代を生きる私たちにはできませんし、未来の人たちに責任を押し付けることもどうかと思えてなりません。
 
        by  てんてこマイマイ

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theme : 名古屋・愛知
genre : 地域情報

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