「森の手入れ」を考える(4)

 コナラ-アベマキ林は広がっていたのか?
 
 ここでは、前述の尾張名所図解「砂留(すなどめ)林」という言葉がヒントになります。
 愛知県では、知多半島から春日井方面まで丘陵地帯はマツの疎林になっていたようです。窯業が盛んであった瀬戸方面でもほとんどが、江戸時代は尽山(つきやま)と呼ばれた禿山になってしまっていたようです。

 こうなると大雨で洪水が起き、大量の土砂が流れ出し、大災害を引き起こします。ため池や水路は埋まり、灌漑や水運にも支障をきたしたことでしょう。

 その対策として、尾張藩は洪水が起きないよう重点的に場所を設定し「砂留林」として植林をさせていました。
 愛知県、滋賀県、岡山県は3大禿山県として有名でした。それはおそらく明治以降の話ではなく「砂留林」から推察できるように、もっと以前からだったと思われます。

日進 北高上緑地看板
 
 これまでの記述で、この周辺の里山の二次林はほとんどが松の疎林であったことはご理解いただけたと思います。
 そこから起きる問題の対策として、伐採の禁止や、(主にマツの)植林がされていたのでした。
 
 私は何百年も生きて里山の風景を見てきたのではありませんから推察の範囲を超えないのですが、愛知県では江戸時代後半から現在に至るまで、そもそもコナラ-アベマキの二次林がそんなに広がっていたわけではないと、こうした資料を基に結論づけています。
 管理・手入れ、つまり間伐や枝打ちを行い、広く二次林を薪炭林として機能させてきたとも思えません。そのようなところはあったとしても、ごく限られていたと思われます。

野並 昭和30年代

 「森の管理を行っていた」主張では、コナラ-アベマキの薪炭林が豊かに広がっていたように語られていますが、事実はそんなことはありませんでした
 ですから、コナラ-アベマキの二次林の伐採・管理を、過去の引き合いとして論じることはできないのです

    by  てんてこマイマイ
       
    画像上は 尾張東部丘陵にある日進市北高上緑地の看板
    同下は 相生山南部の丘陵と野並集落を西方より 1959(昭和34)年         
    ――尾根のクロマツは江戸時代に植林されたものと推察できます。
    やや難がありますが拡大してご覧ください。記事の裏付けになります。

 
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genre : 地域情報

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No title

失礼。
仕事で予想外の事態が起こって、暫く来られませんでした。

Re: No title

まめはなのクーさん
んさん
kumi.Mさん

 ご訪問、コメントありがとうございます。
 少し休憩しておりましたが、連載を再開します。
 「生物の多様性を守るため」「自然のため」と語られ、
 推進されてきたことは本当なのか?
 これまで感じてきたことを、改めて考えてみました。
 前にも書きましたように、力不足を感じながら、
 8回くらい分けて、まとめるつもりです。
 これからもよろしくお願いします。

No title

初めまして
 森の手入れって何のことかなと思って読んでみたら、生態系の話なんですね。
 人間の考えで、森をつくり変えていいのか、そのままにしておくのがいいのかというお話でしょうか。
 有名人も含めて「○○の森」をつくることが、昨今流行っているように思います。それが本当に自然にとって良いことなのか?
 関心を持っていましたので、これからの記事に期待します。
  

ウチの周り

ブームに乗って杉の植林が多少されたものの・・・

林業従事者が全く育たなかったためイノシシの巣窟になっちゃって。
猟友会のおっさん達談ですが杉林近くのNTTのアンテナ塔付近に巣みたいな場所があったそうで・・・
まあ最悪ですわ。

今年も我が家はスイカとサツマイモは殲滅されちゃって。

出荷するほどは作ってないので、これからの時期の焼き芋と夏場の水分補給が少しさびしい結末となりました(笑)

No title

風邪気味…暴風で目が覚めましたよ。

 今年はどうも、体調管理が難しいです。

もうひと眠りして、体調を戻ます^^
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名古屋の相生山(あいおいやま)緑地 大都会に残された貴重な森のことをたくさんの方に知っていただくため情報発信していきます
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